司法書士 飯田一生
前回、空き家の遺産分割協議についてお話しました。そこで、今日は具体的な解決事例のお話をしたいと思います。
Aさんは現在、都市部に住んでいます。庄原の両親が亡くなり、長男Aさんと次男Bさん(都市部在住)亡父名義の実家や山林、農地の名義変更や相続手続きについて話し合いました。初めは、預貯金を半分ずつ分け、不動産はすべて長男であるAさんの名義にすることを考えていましたが、Aさんも都市部に自分の家を持っており、庄原に戻ってくる予定はありません。空き家になることなり、固定資産税や建物の維持管理、草刈り代や庄原に戻ってくる交通費の負担、また、墓の管理、将来の解体費用の事を考えるとどうしていいのかわからなくなりました。そこで、よくわからないから放置しておこうという話にもなりかけましたが、Aさん、Bさん共に、子どもがいるので、次の世代にこの問題を先送りしたくないという思いもありました。また、実家は測量がなされておらず、未登記で、父名義だけでなく、祖父名義の不動産もありました。
相談の流れ
①AさんとBさんは当団体の相談し、弁護士、司法書士のアドバイスを受けながら、空き家問題の解決するための費用を予めAさんにプールしておく内容の遺産分割協議書を作成することになりました。
②当団体を通じて、「墓終い」「建物の解体」「名義変更」「測量」にかかる費用の見積書を取り寄せ、不動産の査定書は作成してもらいました。また、当団体の紹介する税理士より、税金のアドバイスも受けました。
③当団体が紹介した司法書士を通じて亡父、亡祖父の相続登記を済ましました。その後、当団体の不動産屋を通じて、地域に迷惑をかけず、大切に使ってもらえる方を探してもらうことになりました。同時に、当団体を通じて、庄原市の空き家バンクにも登録しました。
④同じ時期、当団体に、スローライフがしたいので、庄原市に移住したいというCさんや、空き家を使って庄原市のために社会事業がしたいというDさんが来られました。Cさんについては、当団体と庄原市で支援し、Dさんについては、当団体を通じて認定経営革新等支援機関や司法書士のアドバイスを受け起業の準備を進めていました。
⑤Aさんは、Cさん、Dさんの想いに共感し、当団体の不動産屋を通じて、2人に不動産を売却しました。その際の、墓終いの工事や清掃、測量、名義変更の登記もすべて当団体の専門家がワンストップで対応しました。
⑥Aさんは空き家の問題を解決し、Cさん、Dさんは自分の想いを実現できました。 もちろん、相手があることなので、すべての方が解決できるわけではありません。一つでも多く、このような解決事例を積み上げていきたいですね。それでは、また。