司法書士 飯田一生
今日は、私が空き家問題をどのように思っているかお話したいと思います。
空き家問題の難しいところは、相談者の想いと空き家の市場価値にズレが生じ、負の遺産となっていることです。そこで、相談者によっては、上記の事実を伝えると気分を害し、トラブルになるケースもあります。また、都市部と違い、空き家には物件的な価値はなく、むしろ解体費用や維持管理費用を計算するとマイナスである空き家で利益をあげることが難しく、誰しもができれば、関わりたくない問題です。しかも、空き家問題を解決するために、本人が費用を支出しても、本人にとって、直接的な経済的利益を受けることはありません。しかし、誰かが嫌な役を引き受け、嫌われ役になっても「ダメなものはダメ。放置すると大変なことになる。次の世代のために、あなたの世代で解決しましょう。」と言わなければ、この問題は前に進みません。そこで、私もあまり言いたくはありませんが、覚悟を決めて、上記の事を伝えた後、以下のステップを踏んで、1件でも多く、空き家を解決するため、日々活動しています。
ステップ①
相談者は具体的な事よりもまず、漠然と空き家問題に対して不安がある方が多い。
ステップ②
相談者の不安に対し、まず法的に答えを出す。マイナスなことも含めてすべて伝える。
例えば、「空き家を放置していると法的にどうなるか」「特定空き家とは」
「相続が起こるとどうなるか」「相続放棄するとどうなるか」
「行政に空き家や空き地を寄付できるか」等
ステップ③
この問題を解決する方法をメリット・デメリットを踏まえ、いくつか提案する。
その際の注意点は、必ず当団体の方ですべての見積を取得し、具体的な金額を提示することである。また、デメリットや法的リスクも含めてきちんと説明する。
ステップ④
当団体の解決実績や解決方法、未解決案件の説明する。また、庄原市における空き家の状況、・高齢化率・人口減少・取引相場等の情報をすべてお伝えする。また、相続登記義務化や特定空き家に対する行政代執行等、現在の空き家問題に対する世の中の流れを伝える。
ステップ⑤
最後に想いを伝える。当団体を設立したきっかけは、代表の司法書士自身が自身の亡曾祖父、亡祖父名義の空き家を放置していたことにより、多額の解決費用を負担し、
自分と同じ思いをしてほしくないと思ったことである。また、自分の次の世代のためやまちづくりの観点や庄原市民のために解決しませんか。とお伝えする。
もちろん、相手があることなので、すべてを解決できるわけではありません。でも、動き続けないと前に進まないことも事実です。1人でも、空き家で悩む人が減ることを願っています。それでは、また。