司法書士 飯田一生
私たちは、昨年度より、国交省の「住宅市場を活用した空き家対策モデル事業」に採択され、庄原市の空き家問題を解決するため、活動してまいりました。昨年度の実績報告ですが、適正に管理されたり、解体された空き家が28件、流通や利活用によって解決できた空き家が11件でした。誠にありがとうございました。本年度も引き続き、更なる解決を目指して、専門家一同頑張っていきたいと思います。
さて、本日は、「空き家をほっとくとどうなるの?」というよくある質問にお答えしたいと思います。まず、よく聞く声は、「実家を放置してても、自分の相続の時に、放棄すればいい。」という声です。
確かに、被相続人が亡くなったことを知ってから、3か月以内に家庭裁判所にて、手続きすれば、「相続放棄」はできます。しかし、負の遺産だけ相続放棄することはできません。すなわち、金融資産だけ相続して、空き家だけ相続放棄することはできないのです。 次に、「市や県、国に寄付すればよい」という声もよく聞きます。ただ、残念ながら、これも原則できません。皆さんと同じように、行政も管理責任やコストを負うことはできないからです。
次に、「自分たちだけ放棄すれば、あとは行政が受け取ってもらえる」という声もよくききます。残念ながら、これもできません。もし、第1順位の相続人が放棄すると、第2順位の被相続人の親等の直系尊属へ権利が移り、直系尊属も死亡したり、相続放棄すると、あなたからみて第3順位であるおじさんやおばさん(死亡の場合はいとこ)まで、相続権が移ります。
自分の実家のことですが、自分の子どもたちや他の親族に迷惑をかけてしまいます。このような事がないように、空き家問題については、早めに対処していかないといけません
当団体では、引き続き、空き家問題について情報発信をしていきたいと思います。本年度もよろしくお願いします。